私たちの視点 : 2010年アーカイブ
アイシーネット19期の開始にあたって (代表取締役 寺島裕晃)
アイシーネットの19期の事業年度が10月から始まりました。前18期は幸いなことに好調な事業実績を上げることができました。この場をお借りして、クライアントをはじめ当社の業務にご協力いただいた皆さまに御礼申し上げます。
創立から17年を経て、100人を超す社員を擁する企業にまで成長できたことは、望外の喜びです。その一方、海外援助業界の社会的責任が増していることを肝に銘じ、社員一丸となってより効率的でクオリティの高い業務を実施したいと考えています。
さて、昨今の新聞・テレビなどでは、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)での議論や、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への加盟の可否、尖閣諸島をはじめとする近隣国との領土問題など、国際関係の中で日本がどのようなスタンスをとるべきなのか、難しい外交の舵取りに関する論評が増えています。また長引く円高やデフレ不況の中で、海外に生産拠点や販路を求める日本企業の動きが活発化してきました。このような国際関係と密接にリンクしているのが、政府開発援助(ODA)事業です。そしてその一端を現場レベルで担っているのが、アイシーネットのような開発コンサルタントといえます。
しかし、これまでODAに関する一般社会の知識・関心といえば、青年海外協力隊によるボランティア活動への興味や、「知らない国の人々を助けるより、日本国内で困っている人々の救済が先だ」という批判が大半です。実際に開発コンサルタントがどのような活動・業務を行っているのか、理解している日本人はそれほど多くないように感じます。それは、国際関係、特に発展途上国との関係に留意しなくても、日々の生活や仕事をしていく上で支障が生じなかったことに起因しているのでしょう。
ところが、国内の厳しい経済環境を背景に、より安い原料や人材、新しい市場を求めて、中小企業も含めて日本の産業界の国際化が進んでいく中で、日本の外交の大きな柱であるODAのあり方やその意義、有効性や効率性について、社会の注目度もこれから増していくだろうと考えています。これまで一般的な関心が低かったことに胡坐をかいて、効率的・効果的な業務への追求が十分でなかった開発コンサルタント会社は今後、厳しい社会の目にさらされて淘汰されてしまうかもしれません。
アイシーネットは、引き受けた業務に高いクオリティを求めて、精一杯努力してきたと自負しています。これからも安易な妥協を退け、プロの意識と誇りを持って、発展途上国やその国の人々と日本との架け橋になれるように、努力する所存です。私たちの業務や活動について、皆さまにより一層分かりやすく発信していきたいと考えていますので、ご意見やご要望をいつでもお寄せください。
今後とも変わらぬご支援をどうぞよろしくお願いします。
2010年10月1日
代表取締役 寺島裕晃
開発援助と民間投資 (第一事業部長 芹沢利文)
アイ・シー・ネットでは、ベテランも若手も関係なく、「開発とは何か」、「国際協力はどうあるべきか」という議論が日常的に行われており、この自由闊達な社風こそが、この会社の長所の一つだと思います。
第一事業部長 芹沢利文
プロポーザルを作るということ (第二事業部長 河原工)
開発プロジェクトの現場での活動を多くの方に知って頂きたいと思いましたが、プロジェクトを実施するためには、プロポーザルを作成し、クライアントから選ばれなければなりません。このプロポーザルを作成することですが、あまり実情は知られてないと思い、この舞台裏の一端をあえて紹介します。
JICAからの発注で会社として一括してプロジェクトを請け負う場合、プロポーザルの分量は通常100ページを越えます。基本の構成は、プロジェクトをどうやって行うかという基本方針と実施方法、メンバーの経歴とこの業務に関しての強み、会社の実績や同様のプロジェクトの経験などです。これとは別に、現地での活動にどのくらいの予算が必要か、価格の見積りの作業があります。これらの作業を、JICAから指示書といって、プロジェクトの目標や想定される成果、主な活動など発注者の意図が書かれた文章が配布されてから、2週間で仕上げなければなりません。そのため、プロジェクトにかかわる予定のメンバー以外にも、2、3名が作成に携わります。
私自身、責任者として、数多くのプロポーザル作成に関わってきました。関係者は毎日遅くまで頑張ります。社内審査会では、審査者から厳しいコメントがでます。皆良いプロポーザルにするため、という想いからです。こうやって、できあがったプロポーザルには、愛着が湧きます。全てに受注できたらと思いますが、ここは勝負の世界です。残念な結果となることも私自身数多く経験しました。自信を持って作り上げたものが、選ばれなかった時は本当に残念でなりません。ただ、それは、どんな勝負の世界も同じでしょう。他方で、選ばれた時の喜びは格別です。
実は、プロポーザル作成に関わることは、たとえそのプロジェクトに参加できなくても、若い人にはとても良い経験になります。先輩コンサルタントのプロジェクトに対する考え方を学ぶ良い機会だからです。また、先輩コンサルタントも若い人たちの働きぶりも見ています。
このように、現地での活動だけでなく、日本でもコンサルタントは日々頑張っています。
2010年4月1日
第二事業部長 河原工
2010年の抱負 (代表取締役 寺島裕晃)
2010年の幕開けに当たり、ご挨拶いたします。
近頃では世情の説明や分析をするときに、“激動の”とか、“先行き不透明な”という枕詞を使ってしまうことが多いと思います。民主党政権の下で行われた“事業仕分け”による予算削減や国内公共事業の縮小や取りやめ、日本航空の再建問題など、2009年の暮れから2010年の始まりにかけて、これまで磐石と思われていた事業や企業が大きく揺れています。このような傾向は、ODAに関連する業界にも無縁ではないと思います。“事業仕分け”に関わるワーキンググループのコメントには、「JICA研究所は廃止・見直し」、「開発調査型技術協力は不要」、「協力隊の役割は終わった」、「無償協力に関してはタイド援助の見直し」など、これまでODAに関わってきた人間の目から見ると、ビックリするような文言が並んでいました。今後も我々ODA関係者にとって厳しい状況が続いていくことが予想されます。
一方、日本という国にとって、平和的な国際協力分野で世界をリードして行くことは、ますます重要になっていくはずです。経済大国の日本が、不況に喘いでいるとは言え、貧困国やそこに住む人々の現状に目をつぶり、自国の利益だけを追い求めていて良いはずがありません。また、世界的に先行きが不透明な時代であるからこそ、しっかりした国際協力を行っていくことで、発展途上国とよい良い関係を築いていく事が、将来の日本にとって非常に大切なことと考えます。私たちは、開発コンサルタントとして、そのような日本の重責をしっかりと自覚すると共に、納税者である国民の皆さんにもその意義を理解していただけるよう、効率的で効果的な義務を実施していきたいと思っています。それによって、世界の中で日本のプレゼンスを高めていくことに、少しでも貢献することができれば、これに勝る喜びはありません。
新年にあたり、上述のような我々の思いを記し、新年のご挨拶に代えさせていただきます。
本年もよろしくお願いいたします。
2010年1月5日
代表取締役 寺島裕晃

